企画展「『高雄型重巡』~条約型巡洋艦と竹本常二の“愛宕”模型~」開催のお知らせ(12月3日~1月9日)

 第一次世界大戦(1914~1918)が終了した後も、列強各国の主力艦の建艦競争は止まるところを知らず、各国とも経済的負担は深刻となり打開策として海軍力の縮小が求められるようになりました。
 こうして、1921年(大正10)11月より開催されたのがワシントン海軍軍縮会議で、この会議により以後10年間の主力艦建造禁止や各国の保有比率を定めた軍縮条約が締結されました。この時、補助艦(巡洋艦)については、主砲口径8インチ(20.3センチ)以下、排水量1万トン以下とのみ定められました。
 この結果、各国はこの制限下で最も優れた巡洋艦を建造しようと建艦競争が再燃することになります。いわゆる条約型巡洋艦の登場です。
 わが国では、第一陣として妙高型4隻(妙高、那智、足柄、羽黒)、続いて性能向上を図った高雄型4隻(高雄、愛宕、麻耶、鳥海)の計8隻の重巡洋艦(日本海軍では一等巡洋艦と呼称)が建造され、その高い性能と重厚なスタイルは各国から注目されることとなり、今日でも世界中のファンを魅了しています。
 ところで、軍艦模型の会「NAVY YARD」会員で精密な軍艦模型の研究・製作に情熱を傾けていた愛媛県新居浜市在住の竹本常二氏も、この条約型巡洋艦に魅了された1人でした。竹本氏は、機械技術者として優れた才能を発揮される傍ら、超精密な高雄型模型を縮尺1/100(全長約2メートル)で完成させるべく製作を開始しましたが、平成17年(2005)脳腫瘍を患い急速に視力が衰え、平成19年(2007)7月20日、奇しくも「海の記念日」に亡くなられました。
 ご自宅を改装した模型専用の工作室には、精密に加工された船体と共に、艦橋、砲塔、搭載艇等の部品等が残されました。これを知った、艦艇研究家でイズミアソシエーツ代表 泉 江三氏と「NAVY YARD」会長 塚本英樹氏が中心となって「愛宕プロジェクト」を立ち上げ、竹本氏の遺志を引き継ぎ本模型の完成を目指します。また、この話に共鳴した(有)佐藤船舶工芸 代表取締役社長 佐藤八郎氏が「時間がかかっても良いのなら…」と本業の傍ら製作を引き受けていただけることとなり、約9年の歳月を経て平成28年(2016)11月にようやく2番艦“愛宕”(昭和12年当時)として完成の運びとなりました。
 本企画展では、この竹本氏の“愛宕”模型を奥様の竹本アケミ様より当館にご寄贈いただき完成後初めて公開披露すると共に、“愛宕”を始めとする高雄型重巡の貴重な写真等を紹介します。「竹本さん、ようやく完成しましたよ!」

 

 

 

1. 開催場所

       船の科学館 本館1階ロビー

 

 

2. 開催日時

       12月3日(土)~1月9日(月)

    10:00~17:00

    休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、年末年始(12/28~1/3)

 

 

3. 協力(順不同敬称略)

       大和ミュージアム、(株)海人社(雑誌「世界の艦船」)、艦艇模型の会「NAVY YARD」

       (有)佐藤船舶工芸、竹本 アケミ、泉 江三、塚本 英樹、原 千明